b型肝炎のワクチンはスケジュールを考慮しながら・・・

b型肝炎は時に死に至る恐ろしい病気です。日常生活の中では感染しにくいと考えられていますが、原因となるウイルスの感染力は強く、誰もが感染する危険性を抱えています。特に免疫力の弱い乳幼児にとっては脅威となるため、大人が予防に努める事が大切です。

色々な予防対策はありますが、中でも効果的なのがワクチンを接種しておく事になります。

b型肝炎の症状について

b型肝炎は急性肝炎と慢性肝炎に分かれます。まず急性肝炎はウイルスに感染した後、1~6ヶ月程度の潜伏期間を経て発症します。具体的な症状としては発熱や倦怠感、食欲不振、吐き気や嘔吐、さらには白目や皮膚が黄色くなる黄疸症状等が挙げられます。

これらの症状が出ても基本的には数週間もすれば自然に治癒します。ただし急性肝炎を発症した場合は僅かながら劇症肝炎へと進行するケースもあります。劇症肝炎は40℃前後の発熱や座っていられない程の倦怠感、酷い吐き気などが一度に現れ、肝細胞が急激に破壊されていく事で肝臓の機能自体も低下し、やがて意識障害を起こして死亡する事もあります。

一方の慢性肝炎は母親からの母子感染により、長い期間にわたってウイルスが肝臓にとどまる事によって起こる症状です。大人であればウイルスに感染した場合はウイルスを体外へ排出しようと免疫力が働きますが、産まれたばかりの新生児や乳幼児は免疫力もそれほど無く、感染が持続する持続感染となるのです。

そして持続感染のうち、80~90%が特に肝機能の数値に異常が現れない無症候性キャリアとなり、残りが慢性肝炎、さらに症状が進行すれば肝硬変や肝臓がん等の病気を発症する事になります。

b型肝炎の感染経路とは?

大人になってからの一時的な感染で終わる一過性感染は、性行為や注射器の使いまわし、入れ墨やピアスの穴開けが主な感染経路となっています。医療従事者の針刺し事故やウイルスに汚染された血液の輸血なども感染の可能性はありますが、こちらは対策がきちんと取られているため、現在はほとんど報告されていません。

一過性感染の中でも特に多いのが性行為によるもので、コンドーム無しでのセックスはもちろん、ウイルスの感染力が強いためオーラルセックスでも感染するケースもあります。一方、持続感染は赤ちゃんの頃の母子感染がほとんどです。

昔は予防策がきちんと行われていなかったため、出産の際に母から子へ感染させてしまうケースが多かったのですが、今は予防策が確立されているので母子感染が報告される事はほとんどありません。これらの事からb型肝炎の感染経路は血液や体液と接触する機会に限られます。

風邪などのように空気感染や経口感染する事は無いので、一緒に食事をする・お風呂に入る・握手をする・軽いキスをする程度では感染しません。

免疫力の低い乳幼児は要注意

日常生活で感染する可能性は限りなく少ないですが、近年は感染源が不明の乳幼児感染がいくつか報告されています。これはb型肝炎ウイルスの感染力が強く、涙や汗、唾液などの中にも感染が成立するほどのウイルス量が含まれているためです。

特に幼稚園や保育所など集団生活の中では、子供同士が触れ合う機会が多くなります。喧嘩などによる引っ搔き傷で出血するケースもあれば、鼻血や転倒して怪我をした時に出血する場合もあります。涙や汗を流す事も日常茶飯事で他の子の唾液が口に入る可能性も0ではありません。

もちろん出血した際は教師が手当てをするので、他の子が血に触れる事はありませんが、絶対に無いとも言えません。つまり通常では感染しないウイルスの量であったとしても、まだ免疫力の低い子ではウイルスに勝てず、親や家族がb型肝炎未感染であるにも関わらず子供だけが感染したというケースも起こり得るのです。

b型肝炎ワクチンは任意から定期接種に

b型肝炎に感染しないためにはワクチンが有効です。将来的な事を見据えても「ガンを予防するためのワクチン」と言えます。以前は任意接種となっており、ワクチンを受けるか受けないかは家族の判断に委ねられていました。

母親や父親など家族にb型肝炎の感染者が居なければあまり必要性を感じず、また費用も負担しなければいけない事も考えると、積極的に接種しようという人は多くありませんでした。しかしながら世界を見ると、1992年にWHOがb型肝炎ワクチンは全ての出生児に接種させる事を推奨しています。

他の国に比べて予防接種制度が遅れている事を認めざるをえない状況でしたが、日本でもようやく平成28年10月1日からb型肝炎ワクチンが定期接種化となりました。

予防接種が多い時期、スケジュール管理が大切

b型肝炎ワクチンを公費で受けられるのは平成28年4月1日以降に生まれ、かつ0歳児限定となっています。受けるタイミングは生後2ヶ月からで、合計で3回接種する事になります。

また接種間隔は1回目と2回目の間が4週間、1回目と3回目の間は20週から24週となっているのですが、厚生労働省によると2回目と3回目は2ヶ月程度の間隔を開けた方が免疫効果が高くなるとされています。

0歳の赤ちゃんが大変なのは、この時期は接種すべきワクチンの種類や接種回数が多いという点です。つまりスタートダッシュで詰まると、その後のスケジュールがずれ込んでいき、本来なら公費で接種出来るワクチンも実費負担となってしまうのです。

順調にワクチンのスケジュールを進めていくためには、生後2ヶ月になった時にb型肝炎とヒブ、小児用肺炎球菌、ロタウイルスを同時接種するのが望ましいと考えられます。

たくさんの種類のワクチンを同時接種させる事に抵抗のある保護者もおり、もちろん希望すれば1種類ずつ接種していく事は可能です。ただゆっくりと単独接種している状況だと、本来のワクチンの効果を減らす事になるのです。

そもそもワクチンの目的は重篤な病気を防ぐために必要な免疫をつける事です。b型肝炎をはじめ、決められた回数を接種していかなければ確実な免疫は出来ず、余計な時間を浪費している間に感染させたくない病気に感染する事もあるため、定期接種の種類が増えた現代は医師からも同時接種が積極的に推奨されています。

ちなみに同時接種による安全性ですが、1回の受診で注射する回数が増えるだけで体に異常が起こる事はありません。これまでにも世界中の子供達がワクチンの同時接種を受けてきましたが、何の問題にもなっていないのが何よりの証拠です。